読書日記

読書感想文苦手を克服するために書く

屍人荘の殺人 今村昌弘

ネタバレあり

 

とても面白かった!しかし少しだけがっかりした。あまりに評価が高くて期待しすぎたかもしれない。とはいえ最後まで楽しんで読んだので面白い本には違いない。

何が良いかというと、本を読みなれない人も投げ出さないで読める親切設計だ。登場人物が揃ったところで、探偵役のヒルコがそれはそれはわかりやすーくキャラクターの名前の説明をしてくれるのだ!いや、マジでミステリー小説の登場人物って覚えるの大変じゃない??普段ミステリー読んでる人ならそうでもないだろうけど。私などは覚えないまま読んじゃう。そしていつのまにか人が殺される。しかし、この小説は殺される前にみんな覚えた!それだけで超好印象!それから、トリックがまともなのも良い。きちんと考えれば導き出せる正統派。

残念なのは読者に期待させすぎる舞台を設置してしまったことだ。殺人ミステリーのトリックはよかったが、外側の設定にも壮大なトリックや何らかの仕掛けがあるもんだと期待してしまうじゃないか、あの導入だと。最後のページまで、何かあるんじゃないかと思いつつ読んだけど何もなかったがっかり感。

そして何より、ヒルコと主人公より明智と主人公の組み合わせの方が萌えるじゃんどう考えても!???最初は強引な明智のことを苦く考えてたような主人公。しかし、彼のブレーキ役だから仕方なく付き合ってる、かーらーのー、僕は彼のブレーキ役だが彼は僕のアクセル役なのだ、ですよ。こいつら…相思相愛コンビじゃん!??悲しい。つらい。

ところで、作中でゾンビがバンパイアに取って代わったって重元くんが言ったのは、確かに!と思ったし彼のゾンビウンチクは楽しめた。バンパイアだと噛まれても知性は保ったままだっけ?噛まれて仲間を増やす化け物、屍鬼、起き上がり…。ゾンビとミステリーの組み合わせで思い出した「生ける屍の死」。死から起き上がってしまった悲しいゾンビはいつからか何かの実験やらで感染した知性のないただの人を襲う装置になってしまったなあとしみじみ感じたのだった。